第873回例会
平成29年10月10日(火) 12:30点鐘
進行:神頭憲司 会員
点鐘:渡部勲 会長
ロータリーソング
「我等の生業」
4つのテスト唱和
お客様紹介
R米山奨学生 益西卓瑪(イシジョマ) 様
付添地区委員 松戸RC 小川一 様
世話クラブカウンセラー 千葉西RC 藤崎泰裕 様
会長挨拶
渡部勲 会長
幹事報告
横井快太 幹事
委員会報告
森茂樹 会員
緑区少年軟式野球連盟(チャリティコンペ寄附金贈呈先)
秋季大会兼千葉緑RC旗争奪戦開会式出席の報告
R米山奨学委員長挨拶及び地区委員
世話クラブカウンセラー紹介
武村和夫 R米山奨学委員長
米山卓話
R米山奨学生 益西卓瑪(イシジョマ) 様
本日卓話の機会を頂き、本当にありがとうございます。
本日のお話について私は自己紹介、私の故郷、チベット民族、自分の研究分野、将来の目標などについて話をさせて頂きます。皆様よろしくお願い致します。
私は千葉西ロータリークラブの奨学生益西卓瑪と申します。中国の青海省から来たチベット民族の留学生です。
私は瀋陽薬科大学から卒業してから来日しました。今年で六年目になります。最初東京の日本語学校で一年半ぐらい日本語を勉強しました。その後、千葉大学薬学部の修士に合格し、二年修士課程を終了後、そのまま進学し、現在千葉大学薬学部の活性構造化学研究室に属し、博士三年生で、天然物について研究しております。
私が生まれ育った故郷は中国の西部に位置する青海省です。もっと詳しくいうと海南チベット族自治州の貴徳県というところです。家族三人で、両親は今省都の西寧市で暮らしています。
チベットには海がありません。「海」と意味するのがチベット高原東北部に位置する中国最大の内陸塩湖である青海湖のことです。チベット語ではツォ・ゴンポと呼称され、青い湖と意味します。省名は青海湖があることにちなみます。
2002年より、湖の周囲をコースとした自転車ロードレースが毎年開催されています。このレースは世界で最も高所を走る自転車レースです。
青海省はチベット高原の東北部に位置し、新疆、甘粛、四川、チベット自治区に隣接しています。長江、黄河、瀾滄江(メコン川)の水源地帯となっています。標高、地形、緯度などの自然要素の影響を受けているため、ユニークな高原大陸性気候を形成し、冬が長くて寒い、夏は短くて涼しい、一日の温度差が激しいです。平均標高は3000メートル、最も高いところの標高は6860メートルです。青海省は多くの民族が集中して住んでいる省です。同省には33の民族が住んでおり、少数民族の人口は同省総人口の45%を占めています。昔から青海省は中国の5大牧畜地区のひとつに数えられています。主にヒツジ、ヤク、ウマ、ヤギなど寒さに強い草食の家畜を飼育されています。特にヤクはチベット高原の良種の家畜です。青海に住んでいる少数民族はチベット族、モングル族、回族、トウ族、サラ族などがあります。高原の少数民族風情を主とする観光資源も豊富で、中国最大の塩水湖・青海湖、「百鳥の王国」といわれる青海湖に浮かぶ鳥島、チベット仏教の名高い寺院タール寺、アニエマチュン雪山などがあります。
私はチベット人です。 多分多くの人は今までチベット民族を聞いたこともないため、この貴重な機会を利用して、自分の民族を皆様に紹介したと思います。
チベット族は主にブータン、ネパール、インド、中国の4か国に分布しています。ブータンはチベット民族自身が樹立した唯一の国連加盟国で、他の3か国においては「少数民族」として分布しています。 母語はチベット語です。分布地域の違いによりチベット語はウ・ツァンチベット語、アムドチベット語、カムチベット語の3語に分けています。チベット人は生まれつきから、仏教を信仰しているため、寺院は生活の中で最も重要な一部です。
チベット高原では野菜が非常に少ないため、チベット族の主食はツァンパと呼ばれ、ハダカむきの粒を炒って粉にしたものに水や茶を加えて手で練って作られます。また、細長い木の筒に食塩とバターを加えてよく振って作ったバター茶を飲む習慣があります。その他独自の食べ物は、トゥクパ、モモ、ヒツジ肉、ヤクチーズ、ヨーグルトなどがあります。お酒はハダカ麦で作られたチャンがあります。
チベット族の服飾は多彩にして華麗であり、中国各民族の中にも特に特色をもっています。気温の高下は大きく、太陽の光が強く、紫外線も強い「世界の屋根」と呼ばれるチベット高原で暮らしているため、チベット人はフェルトまたは毛皮で作った帽子をかぶって頭部を直射日光から保護しています。チベット族の服装は、地域によってわずかの違いはありますが、基本的には、中に長袖の短いシャツを着て、その上に大きくたっぷりした長袍を着ます。そして帯をしめ、軟らかい長靴をはきます。袖つきの長袍の袖の長さは膝下まであり、袍は足までとどきます。袖を着る時は帯をしめ、右腕を外に出し、懐中の空間に、ツァンバやバターを入れた碗、はては子供まで中に入れることができます。働く時は、両腕を出し、両袖を腰に巻きます。休む時は、全身を長袍で包みこんだようにして寝ます。長い袖は枕にでき、まるで寝袋のようです。こうして自由に脱いだり、重ねたりできる多目的な衣服は、高地の遊牧民にとってまことに実用的なものです。
チベットの女性は、いつもイヤリング、首飾り、胸飾り、腕輪などさまざまな装飾品を身につけるが、みな貴重な珊瑚、めのう、金、象牙などをはめこんであり、地区によっておのおのの特徴をもっています。チベット族の服装と頭飾りのデザインは、地区ごとの違いはあっても、その模様と色づかいはみな、吉祥を願い美麗を尊ぶことで共通しています。
チベット人の名前についてよく知らない人は、益西卓瑪というと、益西が姓で卓瑪が名前か、あるいはその逆かなどと考えるようですが、そうではなく、両方とも名前です。普通のチベット人には姓はないのです。チベット人の名のうち大多数を占めるのは、仏教にゆかりの深い名前です。私の名前は例として説明します。益西は知恵を意味する、卓瑪はターラー菩薩という意味です。また、仏教と関係のない名前もあります。よくあるのは、月という意味のダワ、 太陽という意味のニマなどです。 さらに仏教色の薄い名前としては、家族の願いが込められた名前があります。例えば、男の子の誕生を待ち望む家庭に女の子ばかり生まれるというときには生まれた女の子に、男の子を連れてくる子、という意味のプティーという名前を付けたりします。普通名前を呼ぶときは、呼びやすいように、適当に省略して呼んだりします。命名は、両親や祖父母など家族の者がするか、またはラマに命名を依頼して付けてもらうかのいずれかが多いです。
今年の八月、私は家族と一緒に古くからチベット仏教の聖地として知られているラサ(拉薩)を巡礼に行きました。チベット人にとって一生に一度は訪れたいと思い焦がれる所です。
西寧から「世界の屋根を走る鉄道」と呼ばれる青蔵鉄道を乗って、23時間を経ってサラに着きました。世界の鉄道の中で最も標高の高い5,072mを走ることから世界中の注目を浴びています。サラ到着まで車窓からの風景は、普段私達が目にすることのできない大自然ばかりです。そして、五体投地をしながら青蔵公路を歩きラサを目指す巡礼者達の姿を見かけることも。
ラサの中心にある大昭寺(ジョカン)はチベット人にとって重要な宗教活動の場で、仏教信徒が憧れる巡礼の聖地です。この寺院は、約1300年の歴史をもつ、湖を埋め立てて建設されました。チベット各地からラサに来る巡礼者は、大昭寺に詣でることを目的としています。大昭寺の正門前では、毎日チベット仏教独特のお祈りの仕方、五体投地で祈る熱心なチベット仏教徒がたくさんいます。大昭寺を回る道は、八廓と言います。
チベットというとすぐチベットの象徴であるポタラ宮を思い出します。昔のチベット政府の根拠地としてチベットの中心地ラサのマルポリの丘の上に十数年をかけて建設された宮殿です。13階建て基部からの総高117m、単体としては世界でも最大級の建築です。政治的空間の白宮と宗教的空間の紅宮と呼ばれる2つの領域に大きく分けています。白宮は、歴代ダライ・ラマの居住と政治的な執務にあてられた領域です。紅宮には多くの仏塔(チョルテン)が納められています。現在は博物館として使用されています。
ラサには有名なお寺が数多いあります。 ガンデン寺(甘丹寺)、セラ寺(色拉寺)、デプン寺(哲蚌寺)など。
また、「チベットの江南」の美名を持つ林芝(ニンティ)にも行きました。林芝は、チベットの東南部ヤルツァンポ江下流域に位置し、平均海抜は3,000m前後で、最も海抜が低いところでは900mしかありません。林芝の森林は原始的な景観がまだ残っている、「天然の自然博物館」と呼ばれています。
なぜ私は留学先に日本を選んだのか。その答えは、私は高校の時、両親が働いている学校に一人の日本人の先生が学生たちに日本語を教えに来ました。昔の戦争に関わる中国のドラマ及び政府の宣伝などの原因で、多少悪い印象を国民のみんなに与えたでしょう。最初に、皆さんは少し怖い目で見ましたが、その先生はいつも学生さんのことを大切にしてあけて、自分の休む時間も放棄して日本語を教えたり、貧困の学生にお金を貸したり、学業の優秀な学生を日本に留学させたりしました。一生懸命に頑張ったと思います。これらの行為で、日本人に対する間違えているイメージを転覆させました。その先生との出会いをきっかけとして、私は多少真実の日本を知り、日本に関して興味が深くなりました。また、大学時期の先生たちはほとんどが日本に長期あるいは短期の留学経験があり、いつも日本の研究教育実力、研究環境、施設などを褒めています。その影響で、私も自分の視野を広げてもっと大きい世界を見たい、先進国である日本の社会と文化を了解したい、日本の最先端の薬学知識を身につけ、将来チベット民族薬の発展に自分の力を入れたいという思いが芽生えた、だから日本に留学することを決意しました。
青海省は中国内陸に比べて、教育経済などの発展が落ちている地域です。私は両親の支持で幸いに日本に留学するチャンスに恵まれた、だから日本での貴重な時間を費やすことなく、研究に努力することはもちろん、いろいろな人たちとのコミュニケーションより異文化を理解すること、恐れず新しい環境に対する恐怖を克服すること、視野を広げて思考能力を向上させること、様々な人生経験を積むことなども留学に大きい意味があり、これらの能力を持つ人間になって、将来日本での留学経験を通じて日本と中国の薬学交流を促進するのは私の目標です。また、チベット高原は特殊な地理位置で海抜が高くて日照時間が長いなどの特徴をもつ、そこで沢山の薬用価値が高い植物が生長しています。しかし、今中国にチベット薬の研究者は少なく、先端技術が少なく、研究の進捗状況も非常に緩慢的なことが現状です。この厳しい状況を改善するために、私はチベット人として研究員として日本で学べた知識や研究技術を応用し、多くの人たちにチベット薬の価値を認めさせ、伝統的なチベット薬の発展と世界の人たちの健康のために頑張りたいと思います。
次に、私の研究分野について、簡単に紹介します。
現在用いられている医薬品の約半数は天然物に関連するものであり、天然物を利用した活性物質の探索は創薬研究の発展に大きく寄与しています。強力な生物活性と未知の母核構造をもつ天然分子の発見は創薬研究において今後も極めて重要と考えられます。私は菌、植物などの天然物について研究しています。具体的に言うと、私はWntシグナルという人体に存在する伝達経路を調整できる天然物質を探しています。この経路は幅広い生物種に存在し、重要な役割を担っています。一方で、このシグナルの異常は、癌や糖尿病、骨粗鬆症、アルツハイマー病などの様々な疾患に関与していることが報告されています。このような背景からWntシグナルを阻害する低分子は研究ツールや新規医薬品のリード化合物となることが期待されます。
知らないうちに、日本で六年目になりました。最初来日のことを振り返り、言葉の壁、生活費などでいろいろな苦労をしたけど、一生懸命頑張った結果、自分の成長が感じました。
大学院に入って、アルバイトをする時間がなくて、経済的な支援が必要である状況にあって、ロータリー米山記念奨学金を申し込みました。幸運で奨学金をいただくことができて、それは私の日本での研究と生活を両立させる大切な支援です。特別な世話クラブとカウンセラー制度はロータリー奨学会の特徴で、一番魅力的な点だと思います。外国人留学生の私達が将来母国と日本のかけ橋になるように、また「世界平和と社会奉仕の心を広げる」というロータリー奨学会の理念を深刻に理解させてもらうため、ロータリーの皆様は色々な苦労して、研修会、卓話及び旅行などの活動を行って、そういう頑張ている姿を見ると感動します。私が属している千葉西ロータリーグラブの皆様は優しくていつも私のこと大切にしてくれて、家族のような感じします。大学を卒業して進路に困惑した時、日本に留学することを決意したのが良かったと思います。
縁というもので私はロータリーの皆様と出会うことができて、時間が経つのが速い、たぶん瞬く間に別れる時間になるが、私は卒業後学友会に入会し、皆様との絆を切らないように頑張ります。最後に、心を込めて、ロータリーの皆様に感謝を申し上げます。
ご清聴ありがとうございます。
質疑応答・ご挨拶
卓話感想など
岩村衛 会員
ご挨拶
付添地区委員 松戸RC 小川一 様
ご挨拶
世話クラブカウンセラー 千葉西RC 藤崎泰裕 様
奨学生へお礼授与
渡部会長より
ニコニコボックス報告
例会風景
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